どうも部長です。
今回は、機械修理で考えるスキルアップ<実践編>をお送りしたいと思います。
前回はこちらをご覧ください。
基本的な流れとしてはマクロからミクロへ、大から小へ範囲を絞りこんで問題の原因を見つけていくイメージです。
原因の特定ができれば、対応が可能です。
逆にどんなにいい設備や人材が揃っていても原因がわからなければ、対応することはできません。
本記事では機械修理で行なう10の方法を部長が実践している流れに沿って、紹介していきたいと思います。
メカニックや物理的な解決方法の手順を探している人、もっと広い問題解決の能力を探している人にも役に立つ内容だと思います。
機械修理の10ステップ
①起きた状況を把握し、機械や現場を見渡す
まず、直前に何か機械に行ったことはないか、普段と変わったことはなかったか、など状況を聞き取ります。
意外と単純なことが原因だったりするものです。
部長の工場では、電源が抜けているだけだったり、機械の動きを妨げているものがあったりします。
状況を把握することで数分で完了することもあります。
②プロダクトから原因を探る
出来上がった製品に不具合箇所のヒントがある場合もあります。
これでおおよその部分が推定できることもありますので、正しい製品と不具合のある中で作られた製品の違いを意識し、見比べてみることは大切です。
③違和感を感じとる
原因部位の絞り込みを行っていきます。
製品不良を発見し、それに繋がる部位が特定できればその周辺を調査します。
また、機械そのものに違和感を感じることがあれば、その周辺部を探ってみます。
違和感を感じるためには経験やある程度のセンスが必要ですが5感を使うことで補うこともできます。
④感覚をフルに使う
感覚を一つ一つ丁寧に使っていきましょう。
目・・・・機械の動きがスムーズか、挙動のリズムが崩れているところはないか、鉄粉や樹脂クズが落ちているところはないか、など。
手・・・・機械部品を触って発熱しているところはないか、バリが出ているところはないか、など。
鼻・・・・異臭がしないか、ゴムが焼けた匂いや油が焦げる匂いはないか、など。
耳・・・・異音がしないか、高音の異音なのか低音の異音のどちらか、など。
⑤違和感周辺の力の流れを追ってみる
五感で違和感を感じたのであれば、その周辺の力の流れを確認します。
例えば鉄粉が落ちているのであれば、その鉄粉はどこから来たのかを探します。
その近くに、触ったところ鉄粉がつく部品があり、熱を持っていたり、油切れや消耗が確認できればその部品が鉄粉を出していると推測することができます。
過負荷が原因のことが多いので、その部品に力が伝わる順番をさかのぼって調べていく、ということになります。
⑥過去の不具合箇所の点検
特に違和感も感じない時は、今までに起こった不具合箇所を点検していくことが効率的です。
トラブルの原因の多くは同じ箇所から発生するからです。
これはパレートの法則を実感するもので、不具合の80%は20%の原因で起こっていることが理解できます。
⑦原動部から力を追う
それでも原因がわからない時は、モーターなど原動部から、プーリーやベルトを通して流れを追っていきます。
力の流れを見るためには、部分ごとに区切って見るのも重要です。
ここまでは正常だが、ここから動きがおかしい、など大から小へ、絞っていきます。
正常なところとの境目に直接的な原因があることが多いです。
(直接的な原因については最後の項で説明しています)
⑧メカ以外の原因を考える
それでもわからない時には、機械自体は正常に動作している場合もあります。
そんな時はメカ以外の原因を考えて見ましょう。
例えば、制御基盤の不良、プログラムの損傷、投入原材料の不良、電気系統の不具合、温度湿度による環境の変化、などです。
⑨低速、手回し運転で試運転を行う
メンテ実施後は試運転を行いましょう。
その場合、できるのであれば、手回しや低速での運転で様子を見ます。
手回し運転だとわずかな違和感も見逃しにくいので極力このように行います。
一度のメンテでは見逃すことも多いので、試運転での確認は必須です。
⑩改善する
メンテと並行してですが、改善できることはないか考えます。
それはオペレーションであったり、部品の品質であったり、機械構造であったり、様々です。
改善がないことには、一度起こった不具合は基本的には再度起こるものと考えることが重要です。
現実的にはそれが100年に一度起こるものなのか、1年に一度起きるものなのか、その頻度に応じて対応していくことになります。
直接的な原因と間接的(本質的)な原因
部長の経験から言えばこれらを行うことでほぼ全ての不具合に対応できました。
ただし、直して終わりではなく、原因を掘り下げて考えることが重要です。
つまり、不具合の直接的な原因だけでなく、間接的な原因も取り除く必要があります。
例えば、寝坊したため、会社に遅刻したとします。
この場合、直接的な遅刻の原因は寝坊したことです。
しかし、間接的な原因は前日の夜更かしであったり、疲れが溜まっていることだったりします。
さらにそのこと自体にも原因があるはずです。
この場合だと目覚まし時計を増やすのではなく、疲れを取ること、また疲れが生まれる原因を取り除くことが根本的な解決につながります。
これと同じように機械も、なぜを繰り返して考える必要があります。
なぜスムーズに動かないのか、
なぜこの部品が消耗しているのか、
なぜ油切れを起こしているのか、
なぜ過負荷がかかっているのか、
というふうに、なぜを繰り返し、掘り下げて考えていくことが大切です。
直接的な原因を引き起こした原因に対応できない限り、同じことの繰り返しになる可能性が高いからです。
原因の特定ができれば8割完了したも同然
以上ですが、大から小へ、マクロからミクロへ、と考えていくことが重要です。
初めてメカに触れる人にとっては何がなんだかわからないと思いますが、実際は単純な構造を組み合わせて複雑な構造が出来上がっています。
不具合が起きる時はそのどこか一点だけが問題となっていることが多いのです。
ですので、原因さえ特定できれば必要な手が打てます。
ここまでくればメンテの8割は進んだと言っても過言ではないのです。
自分には無理と思わずに少しずつでも取り組んで見てくださいね。