どうも部長です。
今日は革新的なものづくりのために、顧客はどこにいるのか考えてみたいと思います。
部長は典型的な零細企業勤務なのですが、前職はいわゆる大企業で働いていました。
そこで思ったことは、基本的に抱えている問題の構造は同じだということです。
企業として、どこに目を向けてものづくりをするべきかわかっていない、ということです。
言いかえれば、本当に顧客とすべきは誰なのか曖昧だということです。
メーカーの方はもちろん、商社、小売店の方、またこれからスタートを切りたい方にとっても参考になるのではと思い書いています。
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顧客とは誰のこと?
部長は製造業に勤めているのですが、例にもれず、消費者視点というものが希薄な環境にあります。
メーカーの製品を消費者まで届けるために基本的には、商社(一次商社、二次商社、〜)と小売店を経由していくことになります。
なので我々メーカーの立場からすると、お客様とは一体誰なのか実は曖昧に捉えていることが多いのです。
直接的な顧客は商社となることが多いのですが、かといって商社だけが完全なお客様と言い切ることには抵抗を感じてしまうのです。
川下の小売店に商品が売れないとそもそも商社はなくなってしまいますし、より川下には消費者がいます。
消費者に売れないことには、小売店も消滅してしまいます。
そういう意味では、メーカーにとっても消費者こそが真の顧客、と考えるべきでしょう。
中間業者は直接的な顧客であって、本当の顧客は消費者なのです。
ただそう考えることはできても、行動を変えて行くには高いハードルがあります。
多くのメーカーがそうだと思いますが、現状のサプライチェーンではまだまだ商社や小売店を通さざるを得ないのが現実です。
よって消費者視点でものを作れたとしても、商社からすると時代を先取りした商品であることも多く、購入に繋がらないのです。
バブル期にいい思いをした業界ほどその傾向が強いようで、部長の業界も例外ではありません。
ここで改めて、顧客とは誰か、どの方向を向けばいいのか、メーカー目線で川上から川下へ辿って考えていきたいと思います。
向き合う方向を考える
メーカーが向く方向としては
①自社
②商社・小売店
③消費者
があります。
向く方向とは、企画生産を引っ張っていくのはどこかということです。
それぞれ詳しくみて行きましょう。
①自社の方を向く
自分たちの強みを生かすべく、技術に邁進する企業が該当します。
多くは自社の強みを生かせば売れるという誤った視点がもとになっています。
伝統的な日本企業が向いている方向は自分たちであって、消費者ではないことが多いのです。
日本企業が過度な性能を求めている間に、安くて必要十分条件な商品を作る海外メーカーに取って代わられる、これはまさに典型です。
一体マーケティング部門の役割とは何か考えさせられますね。
部長が消費者の感覚からみたときにも絶句してしまうような商品も多々ありますし、多くの日本人なら実感していることでしょう。
おそらく日本の同業他社には技術で勝ったつもりなんでしょうが、これでは完全に自己満足としか思えないことが多いのです。
完全に顧客を忘れ置き去りにしてしまっているのです。
ということで自社に方向を向くと、悲しいかなすでに失敗することは既定路線なのです。
②商社・小売店の方を向く
次にその先の中間業者の方を向くとどうなるでしょうか。
まず、商社について考えます。
部長の業界でもそうですが、最近のアパレルに代表されるように、商社の存在意義というのも年々薄くなってきています。
実際、部長の業界でも存在意義のある商社は極めてわずか、片手で十分足りるくらいです。
自分たちで付加価値を生み出すことを放棄した結果、メーカーへの売れ筋丸投げOEMが多くなっているのです。
商社の能力はもちろんですが、メーカーも付加価値を生み出すことに消極的になりがちとなって行きます。
では、小売店の方を向いた時はどうでしょうか。
商社を介しない場合も多くなりつつあり、小売店目線で考えることも増えてきました。
メーカーとしては小型店よりも大型店・チェーンストアの方向を向きがちです。
零細の小売店との対応には多品種・小ロットとなることが多く、手間がかかるわりには売上に繋がりません。
その点、大規模な小売店にまとめて売る方が売上に貢献できます。
ただそこに落としは穴があり、一定数のボリュームがすぐに売れる商品しか取り扱いができません。
大企業であっても仕入れをするのはバイイング部門の1社員です。
係数管理の元では消化率の低い商品は一時的であっても敬遠され、またそんな状況下では仕入れを継続するのは相当なガッツがいります。
社員がリスクをとってまで市場を開拓するインセンティブが無いのです。
それよりは無難な結果をあげるために、現在の売れ筋を選ぶことは想像に難くありません。
これら商社、小売店へのOEM生産は結果的にメーカーの創造力や独自性を奪うことにも繋がります。
似たような売れ筋を作っておけば無難に売れるため、付加価値について考える機会が少なるのためです。
気づいた時には、メーカーも商社・小売店と並んで共倒れになっていることも多いのです。
③消費者の方を向く
世界の革新的な企業を考えてみてください。
消費者を熱狂させるためには何が必要か、ということからものづくりがスタートしています。
これまでの自社の強みを活かした勘違いのものづくり、商社・小売店からの売れ筋OEM依存、とは理念から全く異なるものです。
まさに市場を創るには消費者の方向を向くことと同義なのです。
消費者目線の物作りのために
メーカーで能力を100%発揮できている会社はごく僅かでしょう。
我が社は全力を尽くしているぞ、と反論されそうですが、実は潜在能力がとても大きかったりするものです。
ある商品が作れないか相談された場合、口では作れないと言いますが実際は可能なことも多いものです。
そこにはNGと言わざるを得ない事情もあります。
・納期や価格など条件に納得できていない
・その後の無理難題へと繋がる可能性を懸念している
・その後の展開が期待できず開発費用の回収目処が立たない
・一度生産するとメーカー都合での仕様変更、または廃盤が難しい
など技術的には可能だが、責任を負ってまで作りたくないということも多いのです。
もしメーカー自らが消費者視点で物作りを行うときには、今までのNGが解決されることがよくあります。
責任を負う代わりに成果も大きく、コミットする姿勢が生まれるからです。
逆にいうと、メーカーのコミットなしでは革新的な製品は生まれないのです。
価値観を創るのは消費者
ネットの発達により、もはや販売チャネルは問題にはならなくなりました。
メーカーとしては売る場所がないというのは言い訳にすぎない時代です。
消費者へ直接販売しつつ、求められているものを探っていかなければならないのです。
そして、消費者が求めているものを創るためには、確立した価値観がなければなりません。
最も大切なことですが、その価値観は消費者起点で作られるべきなのです。
価値観を創るのは消費者、これを忘れないようにしたいものです。